『Body CareRoom體通信 2023年10月号を発行しました。』

  • 2023.10.11
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食欲を科学的に上手にコントロールする方法

私たちは多かれ少なかれ食欲に惑わされています。例えば焼肉屋でまだ食べられると思って注文した直後に満腹になったり、仕事終わりにラーメンやポテトチップスを食べたり、深夜にお菓子を食べたりなど本来食べなくて良いものを食べてしまいがちです。そもそも私たちが感じる食欲という感情には意味があります。私たちが食欲を感じるというのは体内で何らかの栄養素が不足している時です。故に私たちの身体自体が本当に求めている栄養素を知り、適切な食べ物を摂取できると少しの食事量で満足でき、食べ過ぎを防ぐことができます。結果として健康にもなれます。故に今回は食欲をコントロールすることで腹八分目でも満足できるようになる方法を解説していきます。

人の身体はタンパク質を最優先に求める

食欲が起きるのは体内で何らかの栄養素が不足する時です。その栄養素は大きく分けて5つあり、それがタンパク質、炭水化物、脂質、ナトリウム、カルシウムです。この5つの栄養素のどれかが不足した時に空腹は生じます。故に運動して塩分が不足すると自然と塩辛いものを欲する様になります。しかし、多くの研究がなされていくうちに、この食欲を生み出す5つの栄養素にも優先順位があることが判明してきています。そして優先順位が最も高かったものが肉・魚・卵・大豆などの「タンパク質」です。もっと分かりやすくいうと、空腹になると「タンパク質が不足しているのでタンパク質を補充してください」というサインということです故に深夜にラーメン・アイス・ポテトチップス・白米を食べても肝心のタンパク質が取れていないので満腹にはならないのです。そして人がタンパク質を最も必要とするのは、髪・皮膚・爪・血管・筋肉・骨・ホルモン・・酵素など身体を形成する材料で必須のものが多いためです。タンパク質はLEGOでいうとLEGOブロックの様なものなのです。故に身体は食事からタンパク質を最優先に摂ろうとするのです。そしてタンパク質が十分になると食欲は止まります。

1日に必要なタンパク質量

食欲を止めるにはタンパク質が必要です。では1日にどのくらいのタンパク質を摂れば良いのでしょうか?これに関しては年齢や身長、体重、運動量によって変わります。1番正確なのはハリスのベネディクト法というものです。これはネットで調べると簡単に出てきます。調べるのが大変な人は「自分の体重×1〜1.8g」のタンパク質が必要と考えてください。例えば、体重が50kgの人が食べるべきタンパク質の量は50g〜90gということになります。これで運動をしない人は約60g。運動をしている人は90gはタンパク質をとると良いです。

そしてポイントは「自分に必要なタンパク質を摂取するまで食欲は収まらない」ということです。しかし、ここで多くの人はタンパク質を欲して身の回りにあるパン・米・ポテトチップス・アイス・お菓子を食べてしまいます。何故ならファストフードやお菓子は食べたくて仕方がないように作られているからです。ちなみに牛肉には100gに26gのタンパク質が含まれていますが、ポテトチップスには100gに4.7gしかタンパク質が含まれていません。つまりポテトチップスからタンパク質を26g取ろうとする場合、500gは食べる必要があります。そしてこれは約8.4袋分の量です。本当は肉・魚・卵・プロテインを摂ると食欲は収まるのですが、米やパン・ラーメンなどからタンパク質を摂ろうとするので、食べすぎで肥満になってしまうのです。故に食べ過ぎを防ぎたければタンパク質を摂ると良いです。

食物繊維が食欲のブレーキになる

次に食物繊維について解説をしていきます。食物繊維は野菜・全粒粉穀物・豆類・芋類・キノコ類などに豊富に含まれています。先ほどのタンパク質は人の食欲を満たすものです。しかし、タンパク質をしっかりと摂っても満腹のメッセージを胃や腸から脳に届くのに時間がかかってしまうのです。例えば焼肉屋やバイキングで肉をまだまだ食べられると思って注文した直後に満腹感で食べられなくなることや逆に食べ過ぎて苦しくなってしまうことは誰もが経験していると思います。この様にタンパク質が満腹のメッセージを脳に届けるまでに時間がかかります。故に胃や腸から満腹のメッセージを届ける栄養素が必要なのです。そして、それが食物繊維です。食物繊維は胃腸を早く膨らませて、消化の速度を遅らせる効果があります。そのためお腹に留まりやすく、脳に満腹の信号を早めてくれます。食物繊維は食べ過ぎを防ぎ、腸内細菌の餌にもなるため快便にもなりやすいです。タンパク質が食欲を満たす要素とはいえ、そればかり摂取していると便通も悪くなり、健康にも良くないです。故にタンパク質とセットでとるのが食物繊維です。

 

加工食品から身を守る

食欲を満たすのに「タンパク質」「食物繊維」の2つを食べるのが重要です。しかし、この様な簡単なことにも関わらず、現代は肥満や病気の人が増えています。その原因となっているのが加工食品です。加工食品とは「高度に加工された材料と人工的な成分で作られた食べ物」のことです。主にお菓子やアイス、菓子パン、チョコレート、スナック菓子、ファストフードなどがこれに当たります。こういう食べ物には「高果糖コーンシロップ」「トランス脂肪酸」「着色料」「乳化剤」「香料」「甘味料」「艶出し剤」「チキンエキス」などの化学調味料が使われていて、私たちが依存するするように設計されています。こういう化学調味料は家のキッチンでは決して使われないもので、自然界にも存在しない化学的な食べ物です。頻繁に腸の調子が悪い人がいますが、これは化学調味料を食べていれば当たり前の反応です。そして加工食品はタンパク質と食物繊維が少ないことが多いです。タンパク質を含む食品は高価になりやすいですし、食物繊維が少ない方が味が良いのです。そのため、ついつい食べ過ぎてしまいます。故にこういう加工食品を食べる前に食事でタンパク質と食物繊維をしっかりと摂るのが大事です。

 

タンパク質は肉からではなく、 大豆や魚から摂る

ここではどのような食材からタンパク質を摂るのが良いのかについて解説していきます。ここで参考となるのが沖縄を含めたブルーゾーンと呼ばれる100歳以上の人口が多い長寿の人達の食生活です。このブルーゾーンで暮らす人達の食事は基本、地中海料理が多いことが分かっています。野菜・芋類・果物、豆類、ナッツが中心で、肉を食べるのは月平均で5回ほどだそうです。しかも、霜降り肉ではなく、赤身の肉を食べています。そして卵が週に2〜4回、魚が週に3回とのことです。また油はオリーブオイル、お酒は赤ワインを少しだけ飲んでいるそうです。ここから言えることはタンパク質は肉から摂るよりも、「豆や魚、ナッツ」などから摂った方が健康的で長生きしやすいということです。

食材を丸ごと食べて食物繊維を摂る

先ほど説明したブルーゾーンで暮らす長寿の人達の食事にはもう一つの特徴があります。それは「ホールフード」を食べることです。簡単にいうと「食材を丸ごと食べる」ということです。皮を剥いたり、精白したり、加工したりせずに、芋・玄米・全粒粉穀物・ナッツ・フルーツを丸々食べているのです。何故、これが身体に良いかというと食材を丸ごと食べることで食物繊維をしっかりと摂ることができるからです。白米よりも精白されていない玄米の方が食物繊維が多いですし、小麦粉よりも全粒粉の方が食物繊維が多いです。また、皮や果肉を取り除いたリンゴジュースよりもりんごを丸ごとかじった方が食物繊維が多いです。食材は丸ごと食べれば食物繊維がしっかり摂れる様に設計されているのです。そして食物繊維が豊富なので満腹感も得られやすいです。故に腹八分目に留めることができて健康的ということです。

 

参考書籍:5 Appetites

著) David Raubenheimer 

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